スキンケア
2023.11.08
vol.05

人が健康であるために、私たちの体には様々な菌が存在します。近年では、腸内フローラ(腸内細菌叢)が腸内環境の維持や改善に大切といわれていますが、肌にも重要な皮膚常在菌がいます。
今回は、皮膚常在菌がどのように美肌を保っているのか、それぞれの役割について注目していきたいと思います。
そもそも、皮膚常在菌とは皮膚に常にいる細菌のことを指します。細菌といわれるとよくない気もしますが、皮膚の健康を保つ役割を担っており、健康な皮膚にも様々な種類の菌が存在しています。
中でも、表皮ブドウ球菌・アクネ菌・黄色ブドウ球菌などが皮膚常在菌の代表として名前が上がる細菌です。
健康な皮膚にも細菌がいるのは、肌を守るためです。これらの皮膚常在菌は、外部からの刺激により肌が炎症を起こさないよう、守ってくれています。
例えば、メイクや外部の細菌などによる刺激に、皮膚常在菌が働くことで肌が健康な状態でいられるのです。
皮膚常在菌と美肌菌、似ているようで少し違いがあります。美しい肌を作る菌、と思われている美肌菌ですが、科学的に定義されているわけではありません。
現在は美肌菌といえば表皮ブドウ球菌を指すことが多く、皮膚常在菌の中に美肌菌がある、というイメージです。しかし、すこやかな肌を育てるためには美肌菌だけが増えればいいというわけではありません。皮膚常在菌はバランスが大切です。

皮膚常在菌には様々な種類がありますが、今回は代表的な3つについて役割を見ていきます。
表皮ブドウ球菌は善玉菌と呼ばれる種類の皮膚常在菌です。主に、汗や皮脂と混ざり合い保湿成分であるグリセリンや脂肪酸を生成します。脂肪酸は、皮膚を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を防ぐ働きがあります。
表皮ブドウ球菌は美肌菌ともいわれており、この表皮ブドウ球菌が多い肌の方がすこやかであると考えられています。
アクネ菌といえばニキビの原因とご存じの方が多いと思いますが、実はアクネ菌も常に肌に存在しています。アクネ菌は日和見菌と呼ばれる種類の皮膚常在菌で、日和見菌は肌が良い状態の時には良い働きをし、バランスが崩れると悪い働きをする菌です。
日和見菌であるアクネ菌は、通常であれば肌に悪影響はなく皮膚を弱酸性に保ち、有害菌から肌を守る働きをします。しかし、皮脂が過剰に分泌される、毛穴が詰まるなど肌状態が悪い時に増殖しニキビが起こります。
悪玉菌といわれると、なんだか肌に悪い細菌のように感じる方もいるかと思います。しかし、この黄色ブドウ球菌も肌に必要な皮膚常在菌で、皮膚表面や毛穴に存在します。皮膚が正常な状態であれば特に問題ありません。
しかし、黄色ブドウ球菌はアルカリ性の環境を好む傾向があるため、肌がアルカリ性に傾いてしまうと、増殖し皮膚炎の原因となります。
皮膚常在菌のバランスが崩れると、普段であれば問題ないアクネ菌や、黄色ブドウ球菌が増殖し、肌はニキビや炎症を起こします。だからこそ皮膚常在菌のバランスを崩さず、表皮ブドウ球菌を減らさないようにすることが大切なのです。
皮膚常在菌のバランスを整えることはすこやかな肌を作ることにもつながります。

皮膚常在菌は常に肌にいるため、うまく付き合っていくことが大切です。日々のスキンケアでもできることがあるので、ここからは皮膚常在菌のバランスを整えるケアについて紹介していきます。
皮膚常在菌のバランスを良好に保つためには、肌のpHバランスを弱酸性に保つことがポイントです。洗浄力の高い洗顔料を使う、洗顔を何度も行うと肌のバリア機能が低下し、弱酸性からアルカリ性に傾きます。アルカリ性になると、黄色ブドウ球菌が増殖し皮膚常在菌のバランスが崩れてしまいます。
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皮膚常在菌は菌とつきますが、皮膚や肌にとっては必要な細菌です。バランスが崩れてしまうと、肌のトラブルの原因にもなります。
毎日のスキンケアを整えることで、皮膚常在菌のバランスを保ち、すこやかな肌を手に入れましょう。